調停条項案を市長が撤回提案
第二回横浜市会定例会の最終日に、異例の議案撤回の提案が採決されました。議決に先立ち、古谷やすひこ議員(鶴見区選出)が質問に立ちました。撤回された議案は中学生が部活中に柔軟体操で坐骨骨折した事故に関する調停条項案です。
部活顧問が柔軟体操で体重かけ
2015年10月に鶴見区内の市立中学校で、部活動(野球部)の柔軟体操をする2年生の男子生徒に、顧問の男性教諭が体重をかけ、坐骨を骨折させた事故がおきました。この事故をめぐって、横浜簡易裁判所で調停が行われ、横浜市教育委員会と市長は、提示した調停案が被害者も同意するとの認識のもと、議案として本定例会に提出しました。
しかし、調停申し立て人である被害生徒の保護者から「現在の調停条項案では合意ができない」との申し出があって、議案の撤回が市長より提案されました。
教育委員会の調停案では「合意できない」と保護者
保護者側が調停案に合意できなかった主な理由は、調停条項の1で「申立人(生徒)が受傷した障害が原因で、今後、手術などの治療が必要になった場合には、その補償について相手側(横浜市長)は申立人と協議を行う」とされていて、協議が整わなければ、本件の障害が原因で治療が必要になったとしても補償を受けることができないからです。補償の対象も手術などの治療と限定され、発生可能性のある後遺障害については言及されていません。また、事故をおこした当該教諭は部活顧問や担任もそのままでした。
被害生徒や被害家族に寄りそっていない市教委の姿勢が問題を深刻化
古谷議員は、今回議案が撤回されるに至った背景には、事故発生後に被害者や被害者家族の願いに学校や教育委員会が真摯に寄り添ってこなかったことが一番の問題だと指摘。加害者である横浜市側が、その保護者の思いに真摯に寄り添った視点に立っていれば、この調停案を提示していなかったと述べ、事故後の学校と教育委員会の対応を質しました。今後の調停にあたっては、保護者の願い・思いに寄り添って、真に納得できるような提案を市が率先して出していくべきだと主張しました。
あれだけ問題となった原発事故避難生徒いじめ問題と根っこ同じ
原発避難児童へのいじめの事案であれだけ議論したにもかかわらず、また同じような無責任な対応を繰り返した教育委員会に対して、教育長の任命者である市長の責任を問い質しました。
林市長は、「保護者の方の調停案への不安を汲み取れず、結果的に議案を撤回することになり、大変申し訳なく思っています」と述べ、「教育長には学校教育行政全体の管理監督者として責任を果たしてもらおうと思います」と答弁しました。
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